抗うつ薬の副作用にある体重増加の原因とは?
レクサプロ、ジェイゾロフトなどの抗うつ薬の副作用の一つとして
女性を悩ませる体重増加があります。
*抗うつ薬以外でも同様の副作用が発現する事があります(例:抗精神病薬)
この体重増加の副作用の原因としては下記の通りとなります。
項目名 | ヒスタミン(H1)受容体遮断(抗ヒスタミン作用) |
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主作用(効果) | 鎮痒、鎮静作用 |
副作用 | 食欲増進作用 |
作用機序 | ・視床下部にある満腹中枢への刺激がなくなる事による食欲増進
・グレリン分泌促進による食欲亢進、体脂肪利用抑制 |
グレリンとは?
下記の効果を持つペプチドホルモンになります。
・成長ホルモン分泌促進作用
・摂食に関与する複数のニューロン調節に関係
・インスリン、中性脂肪、コレステロール値等を変動する事なく摂食量の増加と体脂肪利用を抑制する事で体重増加を引き起こす
このグレリンを脳内以外の腹腔内や静脈に投与しても食欲促進効果がある事が分かっています。
またストレスを受ける事でグレリンの分泌が促進される事も知られており
過剰なストレスによる食欲増進もグレリンが関係しているといわれています。
抗うつ剤の服用で食欲亢進で副作用といわれているけど
特に抗うつ剤を飲む前と食べる量は変わっていないのに体重が増加してしまう
という口コミやお話を聞く事がありますが、これはグレリンが関与してると考えています。
ちなみに抗ヒスタミン薬であるペリアクチンが、以前は「食欲増進、体重増加」の
効果効能を持っていた事実があります。
*現在では添付文書副作用欄に食欲亢進が頻度不明で掲載されています。
項目名 | セロトニン(5HT2c)受容体遮断作用 |
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主作用(効果) | 抗うつ効果 |
副作用 | 食欲増進作用 |
作用機序 | ・5HT2c受容体遮断により満腹中枢への刺激がなくなり食欲が亢進する
・グレリン分泌促進による食欲亢進、体脂肪利用抑制 |
上記表からわかるかと思いますが、抗うつ薬を服用することによって体重が増えるというのは
ヒスタミン受容体遮断作用とセロトニン受容体遮断作用による
様々な働きが起こった結果になるのです。
<< 参考 >>
セロトニン受容体は多数存在(サブタイプが存在)し、その種類(サブタイプ)によって
様々な作用がある事が知られています。
例えば、5HT1A受容体を刺激する事で抗不安作用、抗うつ作用が発現しますが
5HT2(2A、2C)受容体を刺激する事で不安、不眠発現ににつながってしまいます。
*セロトニン受容体のサブタイプについては近日公開予定です。
抗うつ薬服用する事によって起こる体重増加の副作用は、多くの方に出る副作用とは
感覚的に思ってはいませんが、一度増えた体重を戻す事は大変であることが多く
女性にとっては深刻な悩みとなる事があるようです。
治療効果と副作用のバランスを考え、担当医師に相談する事により
処方を変更してもらえる可能性がありますので体重増加の副作用でお悩みの方は
ぜひ先生に胸の内を話てみてください。
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